自然素材の種類・特徴をご紹介! ~壁編①~

『壁』と一口に言っても、塗り壁(珪藻土・漆喰)や、壁紙(ビニールクロス・再生紙クロス)など、様々な種類とデザインがあります。

「壁にカラーや柄物をチョイスして、アクセントクロスを使って個性を出したい!」と思う方や、
「ホワイトでまとめてキッチンや家具が映えるようにしたい」など、お客様によってお好みは様々です。

幅広い選択肢の中から、今回は塗り壁の珪藻土を紹介します。

 

珪藻土の壁のメリットとデメリットとは?

「塗り壁」の中でも、珪藻土は自然素材ということもあり人気の壁材に挙げられます。
珪藻土の壁には自然な風合いを出せる、耐火性能に優れるなどの利点があり、こうした利点を目当てに壁土に珪藻土を選ぶ人も少なくないことでしょう。
しかし、珪藻土を壁土に採用するならば、デメリットもしっかりと把握しておかなければ思わぬ場面で後悔してしまうかもしれません。
この記事では、珪藻土の壁のメリットとデメリットを中心に解説します。

自然素材でもある珪藻土とは何か?

珪藻土とは、藻類の一種である珪藻の化石が堆積岩となったものです。
ダイアトマイトと呼ばれることもあり、主に土壌改良材や保温材、建材などの用途で使用されます。
塗り壁用の建材として使用する場合、珪藻土自体には接着能力がないため、石灰やアクリル系の接着剤と混ぜて利用することがほとんどです。
漆喰に似た風合いの外観に仕上げることが可能で、プロでなくとも施工しやすいことから、DIY向けの建材としても人気が高い点も特徴と言えるでしょう。
見た目は黄色がかった茶色ですが、様々な色に着色された珪藻土の建材も多く、内壁用の塗料としてもよく利用されます。
そういった塗料を取り扱っている会社やメーカーもあるので内装やリフォームの際は様々な情報を調べて安心な工事をしていきましょう。

珪藻土が利用されてきた歴史は長く、今から2000年ほど前のギリシャでは軽くて水に浮き、火に強い素材として、耐火レンガの原材料に利用されていたようです。
日本でも七輪の材料として活用されたり、輪島塗の漆に混ぜて吸着率を上げたりと、様々な形で活用されてきました。
江戸時代には食用として利用された例もあった他、太平洋戦争中にはビスケットや乾パンの増量剤として活用されることもあったようです。

一方、土木工事で使用されるダイナマイトの開発に際しては、僅かな衝撃で爆発してしまう液体爆薬のニトログリセリンを珪藻土に染み込ませることで安全化に成功しています。
珪藻土ダイナマイトは爆発力が足りないという理由でそのままの形で実用化されることはありませんでしたが、以降のダイナマイト開発における重要なターニングポイントとなりました。

時は流れて1990年後半頃、シックハウス症候群が問題になり始めたことで、天然素材の塗り壁が再評価され始めました。
その際に漆喰と共に珪藻土が塗り壁の素材として注目を浴び、漆喰よりも安価で施工しやすいことから、DIY向けの壁材としても人気を集め始めたのです。
現在では、内壁、外壁問わず珪藻土の塗り壁が人気を集めており、新築、リフォーム問わず、珪藻土の建材が使用される機会も増えてきています。

キッチンやトイレ・お風呂やリビングなど様々な場所で珪藻土の壁が採用されており、工事事例や仕上がり事例もたくさんあります。
もちろんメリット・デメリットもあるのでしっかりと以下の記事で把握していきましょう。

 

珪藻土でつくられた壁のメリット

珪藻土の塗り壁は、様々なメリットがあります。以下では、珪藻土の塗り壁を採用することのメリットについて解説します。

■湿度を調節できる■

珪藻土には、湿度の調整機能が存在します。珪藻土の表面には目には見えない程の小さい穴が無数に空いており、この穴の中に空気中の水分を吸着させることが可能です。
さらに、空気中の水分が少ない場合は吸着した水分を放出します。
結果として、部屋の湿気が過剰な場合は空気中の水分を取り込んで湿度を減少させ、逆に部屋が乾燥している場合は吸着している水分を放出して湿度を増加させるといった形で湿度を調整しているのです。

 

人間が快適に過ごせる湿度は40%~60%と言われており、珪藻土の湿度調整機能はまさにこの湿度の範囲内に調整する効果があります。
結果として、夏の蒸し暑い時期や冬の乾燥する時期の両方で、過ごしやすい室内環境を作り出すことが可能となるのです。
珪藻土が水分の吸収と放出を行うことから、珪藻土の壁は「呼吸する壁」のあだ名で呼ばれることもあります。
その性質上、湿度調整効果を実感するならば内壁を珪藻土の塗り壁にするのがおすすめです。

 

■脱臭効果がある■

珪藻土が水分を吸着する効果の副産物ではありますが、脱臭効果がある点も見逃せないメリットと言えるでしょう。
タバコの匂い、肉や魚を焼いたときの匂いなどは生活をする上で必ず発生するものですが、これらの匂いを珪藻土の壁が吸着することで脱臭してしまいます。
そのメカニズムは、匂いの元となる化学物質が空気中の水分に溶け、それを珪藻土が水分ごと吸着してしまうというものです。
吸着した水分はやがて放出されますが、そのスピードは非常にゆっくりとしています。
また、匂いの元となる化学物質も希釈されて薄まっているため、一度吸着された匂いを再度感じることもありません。

ホルムアルデヒドやトルエンなどといった揮発性が高く人体に有害な化学物質も、空気中の湿気と共に吸着してしまうため、シックハウス症候群の予防効果も期待できます。
ペットを室内で飼っている家庭でも、動物の体臭対策のために珪藻土の塗り壁を内壁に採用しているケースがあるようです。
匂いに敏感な人にとっては、珪藻土の内壁は非常にありがたい存在であると言えるでしょう。

 

■耐火性能・断熱性能が高い■

七輪や耐火レンガに使われてきたことからもわかるように、珪藻土は耐火性能が非常に高いです。融点は摂氏1200度前後であり、火で炙った程度で燃えることはありません。
この耐火性能によって、一般的な木材と比べて延焼に強い建材として評価されており、火災が起きても被害を抑えることが可能です。

また、断熱性能が高い点も注目に値するでしょう。珪藻土の細かい穴には空気が含まれており、この空気が断熱層として機能します。
結果として、室内の熱が逃げにくくなるため、珪藻土の壁が使われた室内では暖かく過ごすことが可能となります。
暖房の稼働率をある程度抑えることができますから、冬場にかさみがちな電気代やガス代を節約することができるでしょう。

 

■色のラインナップが豊富■

珪藻土を利用した左官材料は色のラインナップが豊富で、その数は数百種類とも言われています。
似た風合いを出すことができる漆喰は、水酸化カルシウムが使用されている関係上、冬場になると水酸化カルシウムが表面に浮き出て空気中の二酸化炭素と反応し、白色化してしまう白華現象を発生させます。
この関係で、漆喰は白系統の色が多いです。一方珪藻土に使用されている二酸化ケイ素は白華現象を起こすことはありません。
そのため、顔料を混ぜて様々なカラーバリエーションを実現しており、内壁や外壁をおしゃれに彩ることが可能です。

 

珪藻土でつくられた壁のデメリット

珪藻土の壁にはメリットが多いのは上記で説明したとおりですが、一方で見逃せないデメリットも存在します。
何も考えずに珪藻土を選んで後悔しないためにも、珪藻土のデメリットについて学んでいきましょう。

 

■シミになりやすい■

珪藻土の水分を吸収しやすい性質は、湿気を調節できる反面、醤油やコーヒーなど色の濃い液体をこぼしてしまった場合にシミになってしまい、汚れが取りづらくなってしまうというデメリットも持ち合わせています。
こうした色の濃い液体はこぼさないように気をつけるのが一番ですが、万が一うっかりこぼしてしまった場合はすぐに拭き取るようにしましょう。そういった理由から普段からよごれの落とし方を覚えておくことも必要となります。
それでも跡が残ってしまった場合は、泡状の漂白剤を布につけてシミの部分を軽く叩けば、時間の経過とともに色が薄まります。後は、濡れタオルなどで軽く拭き取れば綺麗になるでしょう。
シミが目立たない、ダーク系の色で着色された珪藻土の左官素材を使うのも手です。

 

■粉が落ちやすい■

ビニールクロスや壁紙と異なり、珪藻土は土でできているため、触ったり撫でたりした場合、粉がポロポロと落ちてしまうことがあります。
セーターなどで珪藻土の壁に接触した場合は粉がセーターについてしまい、汚れになってしまうため注意が必要です。
また、子供が触ってしまい壁が汚れたり、傷ついたりする可能性もあるほか、こぼれた粉が床に散らばってしまう恐れもあります。

粉末の落ちやすさを改善し、つるっとした手触りの珪藻土材も登場してきていますが、従来の珪藻土材のような風合いは幾分損なわれます。
人の出入りや接触が多いことが想定される場所には粉末の落ちにくい商品を使い、天井付近など人の手が届きにくい部分に対して通常の珪藻土材を使うといった使い分けを行うことをおすすめします。

 

 

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