自然素材の種類・特徴をご紹介! ~壁編②~
前回に引き続き壁に使われる自然素材をご紹介します。
今回は漆喰の特徴についてご紹介します。
漆喰(しっくい)とは?
漆喰は消石灰に糊や繊維を加えた塗り材を仕上げに使う塗り壁です。
消石灰(水酸化カルシウム)とは、石灰石を焼いて水を加えたもの。
滑らかで光沢のある独特な質感が特徴的。
消石灰が空気中の二酸化炭素を吸収するに伴い、室内の乾燥や湿気のこもりなどを防ぎ、快適な空間に整えてくれます。
また、消石灰は強いアルカリ性の物質であり、室内のカビなどを防ぐはたらきがあることもポイント。
このような特性を活用し、漆喰は大切なものを保管しておく蔵などに多用されてきました。
その見た目の美しさと高い機能性により、現在でも大きな人気を誇る塗り壁です。
温度、湿度を調整
漆喰は、外気や室内の状況に合わせて水分の吸収や放出を繰り返すため、カビがはえにくく、夏場や梅雨時でも快適な居住空間です。
あるお客様が海外旅行からもどり、空気の入れ換えもしないまま眠ってしまったと聞いたことがあります。
長期間締め切っていても、壁自体が呼吸し、温度や湿度を調整してくれるからこそのエピソード。
きれいな空気は、かけがえのないものですね。
においやほこりがつきにくい
お部屋のいやなにおいやほこりがつきにくいのも、大きな特色です。
ある施工例ですが、居間の雰囲気を明るくしたいと土壁から漆喰壁に塗りかえたところ、煙草のにおいが全然しなくなったと喜ばれました。
また、ビニルクロスのように静電気を帯びることがないため、壁や天井にほこりがつきにくく、ハウスダストが原因で起こるアレルギーなどを防ぎ、心地よい空間にしてくれます。
菌を寄せ付けない
抗菌作用もすぐれています。
イタリアやギリシャの古い町や村では、石積みを漆喰で塗り固めた家が連なっています。中世、欧州で天然痘やペストが大流行するなか、山の岩を焼いて水に溶かしたものを塗ったところ、病気がおさまったことから、このような集落ができたということです。
漆喰の主原料である石灰石の粉は、焼いて水につけるとph(ペーハー)13という強いアルカリ性になり、菌を死滅させるのです。ちなみに、カビやダニが生息できるペーハー値は1から11までといわれています。
大切な物を土蔵で保管するとよいというのは、漆喰壁の抗菌効果によるもので
燃えない安心感
「昔は火事の件数は多かったが、これほど人が死ぬことはなかった」とお年寄りに聞いたことはありませんか。現在、火事場での死因の多くを占めるのが、亜硫酸ガスや青酸ガスによる中毒死(窒息死)。
住宅やオフィスに広く使われている新建材(ビニルクロスや合成樹脂など)に含まれる成分が、燃えることで強い毒性を持ったガスを発生させることが原因と考えられています。
これに対して、漆喰の壁は高い防火性能があると言われています。
優美なインテリア
漆喰壁は機能面もさることながら、インテリアの一部としても優れています。 ラフパターン仕上げにすると、柔らかでぬくもりのある風合いになります。押え仕上げは端正で瀟洒な雰囲気に。 また、ビニルクロスにはない経年変化が楽しめビンテージやアンティーク家具とも好相性ですよ。
豊富な種類
一言で「漆喰」といっても、いろいろな混合の仕方があり種類や色はさまざま。
漆喰の種類は大きく14種類あります。
土佐漆喰 | 南蛮漆喰 | 糖蜜漆喰 | ムチ漆喰 | がんぜき | 天川漆喰 | 屋根漆喰 |
ノロ漆喰 | 狸石灰 | 型抜き漆喰 | 手作り漆喰 | 灰土 | 八斗漆喰 | その他、 漆喰関連 |
※画像は土佐漆喰
ランニングコストがかからない
消臭効果や調湿作用、防カビなどの効果がある漆喰ですが、施工費用が高いという印象があります。 しかし、ビニルクロス壁の部屋で、漆喰と同等の性能をもつ空気清浄器を使用した場合と比較をしてみると(グラフ参照)、漆喰はランニングコストがかからないため、長期的に見るととても経済的だということがわかります。
漆喰の壁とビニルクロスで空気清浄機を使用した場合の
ランニングコスト比較
-30畳リビングの場合-